こんにちは!北の熱い講師オッケーです!
地球温暖化防止条約、SDGsなどからの観点から、全世界で「エネルギーの脱炭素化」が叫ばれています。
エネルギー基本計画
政府は2021年に定めた「エネルギー基本計画」で、再生可能エネルギーを最優先で導入し、30年度には発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を36~38%にするとの目標を掲げました。
再生可能エネルギー目標クリアの北海道
北海道電力ネットワークが公表している資料を確認すると、北海道の直近1年間(22年11月~23年10月)の再生可能エネルギーの割合は、すでに38%に達しています。
政府が2030年度までの「野心的な願望」とした再生可能エネルギーの導入目標を7年も前の段階で、すでにクリアしていました。
すごいスピードで、さらに加速中です。
鈴木直道知事は北海道の再生可能エネルギーについて「国内随一のポテンシャルを有する」と以前から指摘しています。
まだまだ、潜在的な力はあるのですが、北海道内でつくる電力の約40%が、すでに再生可能エネルギーになっていると知ると、ポテンシャルの段階を超えて、もはや、主力電源の段階になっている現状だということです。
北海道の特徴
しかしながら、北海道の再生エネルギーには特徴があります。
今年1月から10月までの北海道エリアの発電電力量に占める電源の割合を調べてみました。
すると、4~6月の3カ月は10月より、もっと再生可能エネルギーの割合が高くなっており、半分以上に達していました。
一方で、冬の寒さが厳しい1月や2月は多いときの半分以下の26%程度にシェアが下がってしまいます。
要因は明らかで、雨から雪になることで、川に流れずに、積雪となるために、
川の水の量が減ることで、水力発電が少なくなるのです。
また、晴れる日が少なく太陽光発電の発電量も減ってしまいます。
さらに冬場は暖房などの電力需要が増えるため、その分は、火力発電所が稼働を増やして、電力不足にならないようにしています。
北海道の再エネ発電の割合は季節によって大きく変動しています。
北海道の主力電源になったともいえる再エネですが、季節変動が大きいため、使い方には考慮しなければなりません。
さらに、太陽光は昼間しか発電しません。
1日の中であっても、発電量には大きな変動が生じています。
発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない再エネの急速な増加によって電源環境には大きな変化が生じて来ています。
原子力発電の位置付けは?
そうなると、発電量ゼロが続く「あの電源」の位置づけはどうなっている?と思ってしまいますね。
これほどまでに発電量が増えている背景には、北海道内の再エネ発電所の発電能力が、急拡大していることが考えられます。
さらに風力発電は従来の陸上だけではなく、海の上でも開発が始まろうとしています。
洋上ではさらに沖合にも風力発電機の設置が検討されています。
建設に向けて、地域の利害関係者などを集めた法定協議会が北海道内で洋上風力発電所が計画されている5地域で開かれる予定です。
11月13日には最初の協議会が、渡島管内松前町で開催されました。
洋上風力発電は周辺に住む人がいない海の上に作られるため、陸上より大きな施設が作りやすいという特徴があります。
本格的な開発がスタートすれば、北海道内の風力発電所の発電能力はさらに大きく拡大することになりそうです。
二酸化炭素(CO2)排出量の多い化石燃料から、太陽光や風力など再生可能エネルギー中心へ産業構造や社会を変革するGX(グリーントランスフォーメーション)に向けた投資の流れは、今後、ますます広がりそうです。
さらには、いまの段階でも北海道では多くの季節、時間帯で電気が余剰気味になりつつあります。
洋上風力への投資が増えるとなると、その傾向はさらに鮮明になりそうです。
そうなれば、全機が運転を停止してから11年が経過した泊原子力発電所の位置づけにも影響が出てきそうです。
泊原発の位置づけは変化していないのでしょうか?
北海道電力広報部のコメントは、
「安全性の確保を前提としながら、エネルギーの安定供給と経済効率性、環境適合性を持つ電源と位置づけています。
脱炭素化を支える基幹電源であるという位置づけは(再稼働を申請した)2013年でも、23年でも変わっていません。」
とのこと。
運転停止から10年以上が過ぎ、北海道内の電源を巡る環境は大きく変わりました。
泊原発の位置づけは本当に「変わっていない」のでしょうか?
北電の斎藤晋社長は10月の記者会見で、
二酸化炭素の削減に向けた取り組みについての質問に対し
「そのためにはまず、発電中に二酸化炭素を発生しない泊発電所の早期再稼働です」
とコメントしています。
電力使用量の調整
電力使用量に合わせた発電量の調整が難しい原子力発電所が稼働すれば、
現在、再エネの導入増で電力が余り気味になっている時間帯はより一層、
電力の余剰感が強まることになります。
現在の「優先給電ルール」では、火力発電所の出力抑制と揚水発電所の利用、
さらに北本連系線を使った本州側への送電でも電力が余剰となった場合、
原発より先に、太陽光や風力など再エネ電源について一時的な発電停止を求める出力制御をすることになっています。
先行して原発再稼働が進んだ九州では2023年4月から9月まで183日の間に、再エネ電源の出力制御が60回実施されています。
次に多いのは伊方原子力発電所3号機が再稼働している四国の50回でした。
一方、原発が再稼働していない北海道エリアは同じ期間での出力制御回数はゼロでした。
説明責任
脱炭素を進めるための再エネへの投資が加速し、すでにかなりの量を占めている北海道です。
さらに官民で投資を促進するため、40兆円もの資金を呼び込もうとしているなかで、同じく脱炭素を進めるために続く原発再稼働の動き…
まだまだ、火力発電の割合が高い北海道で、脱炭素化の進展は不可欠です。
ただ、再エネの電気の割合が高まる中で、原発が再稼働すれば、先に発電停止を求められるのは再エネ電源であるという現実があります。
「泊」の位置づけは本当に10年前から変わっていないのでしょうか?
再稼働を進める北海道電力には、電源環境の変化に即した説明が求められています。
今日を明るく元気に行きましょう!
お仕事お疲れ様です。
いってらっしゃい!