こんにちは!北の熱い講師オッケーです!
ある重要な閣議決定がなされました。
エネルギー基本計画
政府は、日本の電力政策の骨格となる「エネルギー基本計画」を2月18日の閣議で決定しました。
太陽光や風力などの再生可能エネルギーを将来、最大の電源とする一方、原子力も最大限活用していくことが盛り込まれました。
閣議決定された新たなエネルギー基本計画では、
2040年度の時点で発電量全体に占める各電源の割合について
▽再生可能エネルギーは「4割から5割程度」
▽火力は「3割から4割程度」
▽原子力は「2割程度」
になるとしています。
前回、4年前の計画では2030年度の時点で
再生可能エネルギーの割合は「36%から38%」になるとしていました。
これをさらに引き上げ、初めて最大の電源と位置づけます。
また、原子力については、東京電力福島第一原発の事故以降一貫して盛り込まれてきた「可能なかぎり依存度を低減する」という文言は明記せず、再生可能エネルギーとともに最大限、活用していく方針が示されています。
さらに、廃炉となる原発の建て替えの条件をこれまでより緩和するとともに、次世代型の原子炉の開発を進めることなども盛り込まれました。
今回の計画はAIの普及などを背景に、今後、電力需要が増えていくことを前提に策定されましたが、安全性やコスト、それに脱炭素なども考慮した具体策を講じていけるかが課題となります。
2023年度の電源構成


今回のエネルギー基本計画で、将来の最大電源と位置づけられた再生可能エネルギー。
その柱として期待されているのが洋上風力発電です。
2023年度の発電量全体に占める各電源の割合は
▽火力が68.6%
▽太陽光や風力、水力も含めた再生可能エネルギーが22.9%
▽原子力が8.5%
となっています。
新たな基本計画では、前述の通り、再生可能エネルギーの割合を2040年度、「4割から5割程度」に引き上げています。
風力発電のうち、現在の主流は陸上に設置されるタイプですが、安定して強い風が吹く場所が沿岸や山間部に集中し、設置に適した場所が限られるのが課題になっています。
このため、風力の発電量は同じ再生可能エネルギーの太陽光の9分の1以下、水力と比べても7分の1以下にとどまっています。
一方、主に海上に設置される洋上風力発電は、周囲に山や建物がないことから安定した風力が得られ、騒音などの問題も出にくいとされています。
さらに「浮体式」と呼ばれるタイプは風車の土台を海底に固定せず、海に浮かべるのが特徴で、陸地から離れた海域でも設置できます。
風車を大型化し、1基あたりの発電量を大きくできることから、政府はEEZ=排他的経済水域に浮体式洋上風力を設置できるよう、今の国会に「再エネ海域利用法」の改正案の提出を予定しています。
ただ、浮体式洋上風力はまだ実証試験の段階で、実用化に向けて性能の向上や量産技術の確立、コストの低減などが課題になっています。
政府 再エネ拡大の柱に位置づけ
政府は洋上風力発電を今後の再生可能エネルギー拡大の柱に位置づけ、発電に適した海域を法律に基づいて重点的に整備する「促進区域」に指定して、事業者を公募してきました。
2021年の第一弾では4つの海域の事業者が決まり、▽秋田県沖と千葉県沖の3つの海域ではいずれも三菱商事を中心とする事業体が決まりました。
あと1つは▽長崎県沖で戸田建設などの事業体の浮体式の事業が選ばれています。
第二弾でも4つの海域の事業者が決まり、2023年には
▽秋田県沖の海域はJERAや電源開発、伊藤忠商事などの事業体
▽新潟県沖の海域は三井物産と大阪ガスなどの事業体
▽長崎県沖の海域は住友商事と東京電力の子会社の事業体
が選ばれました。
去年には残る1つの
▽秋田県沖の海域で東北電力などの事業体が選ばれています。
さらに去年には第三弾の結果が発表され、
▽青森県沖の海域ではJERAや東北電力などで作る事業体
▽山形県沖の海域では丸紅や関西電力などで作る事業体が選ばれています。
洋上風力発電に“逆風” 建設コストが上昇

将来の再生可能エネルギーの柱と位置づけられている洋上風力発電ですが、その事業環境には現在、「逆風」が吹いています。
背景にあるのが、予想を上回る建設コストの上昇です。
このうち大手発電会社の「電源開発」は、福岡県と秋田県の沖合で洋上風力発電の事業を計画していますが、この数年の資材価格の高騰で建設費の大幅な増加を見込んでいます。
2017年に事業が始まった福岡県沖の計画は、今年中の運転開始に向けて工事が進められています。
この間にも
▽風車の羽根に使う強化プラスチック
▽海に浮かべる台に使う銅やコンクリート
▽ケーブルに使う鉛や銅など
の価格が3年前より、いずれも40%程度値上がりしているとしています。
さらに建設業界の人手不足で人件費も上昇していることもあり、会社では風力発電の事業で黒字を確保できるか先行きに不安を感じている状況です。
原子力発電の課題は
閣議決定された新しいエネルギー基本計画では、原子力を最大限活用する方針が掲げられましたが、原子力発電をめぐっては東京電力福島第一原発の廃炉やいわゆる「核のごみ」の処分など多くの課題が残されていて、こうした課題を解決していけるかどうかが、改めて問われることになります。
3月に発生から14年となった福島第一原発の事故では、最長で40年とされる廃炉の完了に見通しが立たず、周辺地域の住民の帰還など復興も道半ばになっています。
これについて新しいエネルギー基本計画では、「原発事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて、エネルギー政策を進めていくことが、エネルギー政策の原点である」と位置づけた上で、国が前面に立って福島の復興に最後まで取り組んでいくとしています。
具体的な取り組みとしては、
▽技術的な難易度が高い研究開発については、国が必要な支援を実施すること
▽廃炉関連産業の集積促進や、人材の育成に取り組んでいくこと
▽廃炉現場の視察や住民との対話を通じて地域の理解を得ながら廃炉を進めていくこと
などをあげています。
一方で、目指す廃炉の完了が具体的にどのような状態を指すのかなどは示されませんでした。
また、新しい計画では、国内の発電量に占める原子力発電の割合が2023年度の8.5%から、2040年度には倍以上の2割程度に増えるという見通しを示しています。
その実現には現在33基ある原発のほとんどが稼働する必要がありますが、現在稼働しているのは14基で、残る19基のうち3基は地元の理解が得られていないほか、9基は再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査の申請もしていません。
計画では、安全性の確保を前提に再稼働を進めるとしていて、特に新潟県にある東京電力の柏崎刈羽原発については、東日本の電力供給や電気料金の格差解消などの観点から、再稼働への理解が進むよう政府を挙げて対応を進めるとしています。
このほか、新たな原発の建設について、廃炉となった原発の建て替えを念頭に、同じ電力会社の原発敷地内で次世代型の原子炉の建設を進める方針も明記されました。

原子力政策が抱える長年の課題
明らかなる、「トラウマ」現象ですが、、、
さらに計画では、原子力政策が抱える長年の課題についても、一歩踏み込んだ言及をしています。
政府は、使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出し再び原発の燃料として使う「核燃料サイクル」を進めています。
しかしながら、中核となる青森県の再処理工場は、審査対応の不備などにより完成時期の延期が繰り返されています。
これについて計画では「審査対応の進捗管理や必要な人材確保などについて、官民一体で責任を持って取り組む」としています。
また、高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の最終処分地選定をめぐっては、北海道と佐賀県で調査が行われていますが、道や県の理解は得られておらず、先行きは不透明な状況です。
計画では、「全国のできるだけ多くの地域が処分事業に関心を持ち、調査を受入れてもらえるよう理解活動を積極的に行う」などとして、国主導の働きかけを強化するとしています。
新たなエネルギー基本計画で掲げた原子力の最大限の活用には多くの課題が横たわっていて、こうした課題を解決していけるかどうかが改めて問われることになります。
だた、次世代に先送り出来ることでもなく、決めていかなければならないことであるのは、皆さんご存じのことと思います。

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