【Ｈ3】失敗中止ではない延期

こんにちは！　北の熱い講師　オッケーです！

日本の宇宙科学関係各位に敬意を表します。

【Ｈ3】失敗中止ではない延期

【Ｈ3】失敗中止ではない延期

新型ロケット打ち上げ

2月17日10時37分55秒に打ち上げる予定であったＨ３ロケット１号機の打ち上げ中止を受け、同日に鹿児島県・種子島宇宙センターで記者会見がありました。

説明に当たった、宇宙航空研究開発機構（ＪＡＸＡ）の岡田匡史Ｈ３プロジェクトマネジャーは「万全の体制で臨んだが、こういったところで中止になるのは残念」と、涙を堪えて悔しさをにじませました。

打ち上げ中止の原因

JAXAは「H3の主エンジンを立ち上げた後に1段目のシステムで異常を検知し、固体補助ロケットの着火信号を送ることができず打ち上げを中止することにした」としており、詳細な状況を確認中とのことです。

固体補助ロケットはH3本体の周囲に2本装着し、衛星の打ち上げに対応できる仕組みになっています。
H3の固体補助ロケットは「SRB-3」と呼ばれ、H2Aで使われていたものをH3向けに改良したものです。
長さは約15メートル、直径2.5メートルの円筒形状で固体燃料を燃やし、打ち上げの初期の段階で推進力を出す計画であったとのこと。
打ち上げの0.4秒前に点火して燃焼を始め、発射から1分56秒後にロケット本体から切り離される予定だったのです。

Ｈ３ロケットとは

H3は現行の「H2A」の後継機にあたります。
JAXAと三菱重工業㈱が2014年から開発に着手したロケットです。
開発費は約2000億円。新たな構造の主力エンジンを採用。
エンジンの部品点数を約2割減らしつつ推進力が1.4倍になるように設計。
打ち上げ費用をH2Aの1回あたり100億円から50億円にするだけでなく、
注文を受けてから発射までの準備期間も約1年と従来の2年から半減する目標を掲げています。

先日、三菱重工業株式会社の連結子会社である三菱航空機株式会社が取り組んでいたSpaceJet（リージョナルジェット機）の開発活動を中止することとしました。
三菱重工としては、宇宙開発計画に絞って「選択と集中」の判断のもとの今回の打ち上げだけに、関係者にとっては、祈る思いの時であったことは、想像に難くないところです。

関係者の長年の悲願であった、「国産の旅客機の生産」の「断念」という、まさに「断腸の思い」での企業判断（引いては国策ともいえる計画だった？）と思います。

今後の利用計画

国の主力となる大型ロケットとして、国の人工衛星の打ち上げや宇宙開発に利用する計画であるとのことです。
国としての、年間に5機前後の打ち上げを予定計画であるとのこと。
また、アメリカ主導の有人月面探査「アルテミス計画」や、日本主導での火星の衛星からサンプルを地球に持ち帰る計画「MMX」などにも活用する計画とのこと。

生産コストを抑えることによる商業衛星の打ち上げの利用も大きく期待されています。
すでにイギリス・インマルサットから1件受注しているとのこと。
計画当初はJAXA主導でH3を打ち上げるが、H2Aと同様に将来は三菱重工㈱に打ち上げ業務を移管する計画で、国内外の商業衛星の受注を目指しているロケットです。

ただ開発計画は難航し、主エンジンの試験中にトラブルが続いて起きていました。
打ち上げは当初の20年度から2度延期となり、改良に改良を重ねて、ようやく今回の打ち上げに挑んでいました。

国のロケットを巡っては、小型ロケット「イプシロン」6号機が22年10月に打ち上げに失敗しました。現在も詳細な原因を調査中です。
国は大小2つのロケットを使い分ける戦略で、大型機についてはH2Aは24年度の50号機で退役を予定している情報もあります。

今後において、打ち上げが滞れば、日本国の宇宙戦略の見直しが求められることとなります。

世界情勢

隣国北朝鮮の弾道ミサイル発射が、やむ気配もなく、パレードで１０何基も登場しています。
我が国は、弾道ミサイル迎撃システムの設置もままならない防衛力。
安保条約のもとで、アメリカに協力体制をお願いしている状況であり、
中国の気球を見過ごす危機管理能力などなど。
１年経過し既成事実となっている、ロシアのウクライナ侵攻。
世界安全保障会議開催で、どのような議論がなされるのか。
政府政策としての防衛力強化のための増税論議。

国の安全保障上においても、待ったなしの情勢です。